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想いを込めた小瓶
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by blue_halfmoon_m
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「おめでとう」 川上弘美
2006年 02月 13日 |


私は読んでいませんが
「センセイの鞄」の作者です。

この「おめでとう」は 12編の短編集です。
ひとつひとつの話は とても短く、
文体は淡々としていて、さらりと読めるものです。


好みは 分かれるかもしれない。

面白くないと感じる人には 
とことん面白くないかも。



これは おとぎばなし?



感情移入するという点では、
話の中に のめり込むことを許さない世界。
でも 別に突拍子もない話、というわけでは
全然ないのですが。

感じられるのは
ぼんやりとした「さみしさ」のようなもの。


作者の方から直接的に発する
感情、暖かさ、手触りなどは
意図的に排除したような物語の中で
私が唯一 ストレートさを感じ、
それが理由ではないのですが、
心に残った場面は
『冬一日』の中でのワンシーン。

「あのさ、俺さ、百五十年くらい生きることにした」
突然トキタさんが言った。
「百五十年?」
「そのくらい生きてればさ、
 あなたといつも一緒にいられる機会も来るだろうしさ」
「トキタさんったら」私は言い、うつむいた。


とても地味で古風で
おそらく日常の中で脚光を浴びることもないような
控えめなタイプであるふたりが
百二十年後くらいには
命尽きるまでの三十年間
ひっそりと暖め合うささやかな幸せの日々が訪れる。
そんな希望も いいんじゃないか・・・

そんな気がしました。
あってもいいんじゃないか、ってね。






by blue_halfmoon_m | 2006-02-13 11:46 | |
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